高齢者が寝たきりとなる原因の一つに転倒事故がありますが、

 

これが、自宅が多いと聞いて意外でびっくりしました。

 

最近、私も若いころにはなかった、よろけることが多くなったり、ちょっとした段差で

 

躓いたりするので、ちょっと心配になりました。

 

人間は加齢とともに、筋力の低下や、歩行障害、視力の衰えなどさまざま要因が重なり、

 

バランスを保ちにくくなっていくそうです。

 

高齢者になると、病気やその服薬によって転倒するリスクがさらに高まることもあり、

 

思わぬ事故が発生することがあります。

 

高齢者が「要介護」となる主な原因は、脳血管疾患(脳卒中)、認知症、高齢による衰弱

 

と続き、「骨折・転倒」は全体の12.2%を占め、4番目の多さになっているそうです。

 

 

内閣府の調査結果によると、自宅内で転倒したことがある男性が6.8%なのに対し、

 

女性は11.8%となっていて、男性よりも女性が転倒しやすいということです。

 

転倒により動けない状態が長く続くと、歩行機能が衰え、「要介護」となる可能性が。

 

転倒が起こった場所としては、居室での自力歩行時、移乗時、立ち上がり時に

 

多いです。

 

「室内でトイレに行こうとした」というちょっとした事故が多いようです。

 

また、ベッドの事故が最も多いことがわかります。

 

寝ている安静の状態から起き上がる時、転倒事故が起こりやすいです。

 

 

●転倒が原因で寝たきり状態に

 

若い人なら少しくらいけがをしたり病気にかかったりしても、安静にして寝ていれば大抵

 

何事もなく治ります。

 

しかし、高齢者にとっての安静は、筋力や身体機能の衰えを招き、歩けなくなる、動けな

 

くなるなどの症状を悪化させる要因にもなるのです。

 

中でも転倒が原因で起こりやすい大腿骨の骨折は、歩けるようになるまでに時間がかかる

 

ため、筋力の低下から、そのまま寝たきりになることも多いです。

 

また、老化による骨密度の低下でちょっとした転倒でも、骨折に至ります。

 

骨折やけががなかったとしても、転倒により自信を失ったり、自力で動くことに対して恐

 

怖心を持ったり、段々体を動かさなくなり、筋力が次第に衰え始めて、身体機能の低下を

 

招くという悪循環に陥ります。

 

このように転倒は、高齢者の生活に大きく影響することがあるため、十分な対策を取る必

 

要があります。

 

高齢者の転倒が多い場所

 

高齢者の転倒事故は屋外ばかりでなく、自宅でも多く発生しています。

 

高齢者が転倒しやすい場所は?

 

●自宅の転倒は「室内」が多い

 

「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(全体版)」によると、転倒

 

した自宅の場所では「庭」が最も多く、次に「居間・茶の間・リビング」「玄関・ホー

 

ル・ポーチ」「階段」「寝室」と続きます。転倒場所を「庭」と室内に分けると、「庭」

 

よりも「室内」での転倒が多く(複数回答)、高齢者にとっては安全と思われる室内にも

 

危険が潜んでいることがわかります。

 

●室内の転倒しやすい場所

 

室内の転倒場所では「居間・茶の間・リビング」の割合が20.5%と最も多く、

 

次いで「玄関・ホール・ポーチ」が17.4%、「階段」13.8%、「寝室」10.3%、

 

「廊下」8.2%、「浴室」6.2%の順となっています。

身体機能の低下によってすり足で歩きがちな高齢者は、カーペットや敷居などのちょっと

 

した段差でも転倒することがあるので、居間などについても注意が必要です。

 

時には、段差のない廊下やフローリングで足を滑らせることもあります。

 

また、足を踏み外しやすい階段や玄関、浴室などでは、重傷を負うおそれもあります。

 

高齢者がいる家庭では、至るところに手すりを取り付けるなどして転倒予防をしておくこ

 

とが大切です。

 

高齢者の転倒の原因

 

転倒の原因には、身体的なものが原因となる「内的要因」と

 

生活環境から来る「外的要因」とがあります。

 

●外的要因

 

自宅内の室内のわずかな段差。

 

歩幅が小さくスリ足の高齢者にとっては、普通なら段差と認識しない程度のちょっとした

 

敷居でもつまずくことがあります。

 

すべりやすいフローリング、手すりが設置されていない階段や玄関、浴室などは転倒リス

 

クの高い場所です。

 

転倒を防ぐためには、ベッドや椅子の高さ、廊下や階段、玄関、浴室に手すりの設置や

 

生活環境が本人の身体状況に合っているかどうか、対策を施しましょう。

 

環境を整備することで転倒予防につながります。

 

設置には、市町村で給付金がでる自治体もありますので、調べてみてください。

 

 

●内的要因

 

病気や疾患、加齢による筋力の低下、身体機能の低下が挙げられます。

 

ほかにも、薬の副作用による足元のふらつきや眠気、意欲の減退なども。

 

高齢者は複数の薬を飲んでいたり、体調の変化を口に出したりしないこともあるので、

 

周囲が注意しておく必要があります。

 

転倒は、内的要因と外的要因が合わさることで、よりリスクが高まります。

 

転倒を防ぐためには、内的要因・外的要因の両方を減らすことが大切です。

 

高齢者の転倒を防ぐポイント

 

転倒しにくい環境を整える
自宅内での転倒は、安定した歩行や動作ができるように介護用品を活用したり

 

介護リフォームを行ったりすることで予防できます。

 

すべりやすい廊下や浴室に手すりを設置したり、床の段差をなくしたりするだけで、

 

不安定な高齢者のバランスを落ち着かせるのに役立ちます。

 

介護保険を利用すれば、介護リフォームは補助金の対象となりますので、

 

自治体の窓口で相談してみるといいでしょう。

 

日頃から筋力とバランス感覚を鍛える
転倒を予防するためには、高齢者の筋力とバランス感覚の低下を防ぐことも大切。

 

普段からウォーキングや散歩をしたり、ストレッチで柔軟性を高めたりしておくことも

 

転倒予防につながるでしょう。

 

今は、高齢者でもできる体操やフィットネスもありますので、自宅でもできる簡単なトレ

 

ーニングなどすると効果がありますね。

 

転倒予防につながる2つのトレーニング

 

大腿四頭筋のトレーニング
背もたれに寄りかからないよう椅子に腰掛け、両手は椅子の端を軽く持ちます。

 

片脚を上げて伸ばし、つま先は天井に向けます。

 

そのままの状態で、膝上から太ももにかけて力を入れ、5秒間キープします。

 

反対側の脚も同様に行います。

 

ふくらはぎの筋力を強化するトレーニング
椅子の背やテーブル、壁などに片方の手を添え、体を安定させます。

 

足を肩幅と同じくらいに開き、両方のかかとをしっかり上げたら、ゆっくりとかかとを下

 

ろします。

 

顔を前に向けて行うことがポイントです。

 

お腹やお尻など体幹部分に力を入れて行うとより効果的です。

 

転倒しにくい靴下や靴を選ぶ

 

筋力が低下した高齢者は足のつま先が上がりにくく、すり足になりがちなため、

 

多少の段差でもつま先が引っかかって転倒しやすくなります。

 

室内でのスリッパはよくないらしいです。

 

そのため、高齢者の靴下や靴を選ぶときは、つま先が自然と反り上がる構造のものにする

 

と、いいらしいです。

 

今ではマジックテープやファスナー付きのいい室内履きが出ていて、

 

靴底や足裏に滑り止めが付いているタイプのものもあり、

 

足にフィットするものを選んで履くと、足をすべらせて転倒する可能性も低くなりま

 

す。

 

だりすることを考え、ものを選ぶようにするといいでしょう。

 

足の専門医

 

先日、テレビで、足病総合センターというものを知りました。

 

「足」の悩みに対して総合的に対応してくれる足病総合センターだそう。

 

足の骨関節、傷や壊疽、血流、むくみ、しびれ、爪や皮膚、靴のトラブル、全身疾患の一

 

症状…など、これらをすべてカバーできる診療科が今までは日本にはなかったのです。

 

海外には、足部を専門で診てくれる「足病医」(Podiatrist = ポダイアトリスト)が存在

 

し、アメリカでは約13,000人以上、オーストラリアでは約5,000人以上もいるそう。

 

(平成24年時)。

 

足病医は難関な国家資格であり、

 

足病医学の発達した国々では、「矯正用インソールで足を矯正して痛みを改善・予防す

 

る」というのは常識であり、スタンダードなのです。

 

「日本は海外に比べ30年遅れている」と言われるほど、足病医学についての後進国と認識

 

されており、足とインソールの関係を適切に捉え、真に質のよい矯正用インソールやシュ

 

ーズをつくり出すためには、足病医の存在は必要不可欠だそうです。

 

常に体重を支えている足は、特に病気がなくても痛みが続くこともあり、痛みがあっても

 

どこへ受診すればよいか悩むことも多く、また受診したとしても病院を転々とたらいまわ

 

しという事も、少なくないのです。

 

看護師、理学療法士、義肢装具士、管理栄養士などのメディカルスタッフがあらゆる面か

 

ら足のサポートをしてくれ、「病気」だけではなく「悩み」に対しても向きあってくれ、

 

総合的に診療することが出来るように、足病総合センター内には複数の部署や診療科のス

 

タッフがそろっていて、足に特化した独自の新しい外来診療の体制が整えられました。

 

「足」は、常に負担を強いられている

 

健康のために万歩計をつけて、1日1万歩を目標に歩いている方も今は多いです。

 

もちろん歩くことは大切ですが、1日1万歩あるく方の足は1日1万回も地面にぶつかっ

 

ているのです。

 

直立二足歩行の人類にとって、足は常に負担を強いられ犠牲になっている器官といえま

 

す。

 

足の弱点は、「靴」と共同で機能を果たしている器官であること。

 

また身体の末端の低位置にあるというデメリットから、人間の足はさまざまな危険にさら

 

されています。

 

重力、外力、摩擦、湿気、菌、血流、末梢神経…。

 

これらに起因する多彩な足の障害の多くは、単独ではなく複合的に生じていることも。

 

健康寿命ということが声高にさけばれる今、私たちは「足」をもっと真剣に考える必要が

 

あります。

 

私も半年ほど前に、何の前触れもなく腓骨神経麻痺になり、つま先が上がらないという

 

症状が出ました。

 

いろんな検査もしましたが、どこも悪くなく、整形外科で坐骨神経痛のブロック注射を

 

してもらって、足の指の感覚が段々回復し、いまに至っています。

 

それまでは、足なんて大事にもしてこなくて、考えれば、前の仕事では毎日2万歩以上

 

走り回って、いつも足がくたくたでした。

 

もっと、足を大事にしていたら、麻痺も防げていたんではないだろうか。

 

これから、年を重ねていくのに足にもっと関心を持って、治療をすべきだったのでは

 

と思い至ったのです。

 

身体状況に適した住宅環境の整備が転倒予防につながる

 

高齢者の転倒事故は、いつも生活している自宅で多く発生しています。

 

中でも認知症を発症している高齢者は転倒しやすく、とっさに手をついたりできないこと

 

もあるので、転倒がきっかけで寝たきりになる可能性もあります。

 

転倒を防ぐためには、高齢者本人が転倒しないように心がけ、トレーニングしたりす

 

ることも大切ですが、一緒に暮らす家族が高齢者の状態や周囲の環境に注意してあげるこ

 

とで防げることもたくさんあります。

 

そのためには、室内外の段差をなくしたり、手すりをつけたりして、

 

高齢者の身体状況に合わせた住宅環境を整えることも大事です。

 

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