現代人は乾いているようです。
その結果、身体のいたるところの乾き、ドライによる様々な病気に悩まされます。
昔は、石炭によるストーブ、薪ストーブなど、あるいは石油ストーブなどの暖房器具で
上にやかんなどを置くことで、常に蒸気を発していたので乾燥することもなかったのです
が、最近のエアコンの風は人間の身体に乾燥を引き起こしているのではないでしょう
か?
快適な生活を手に入れるとともに、私たちの身体から水分が奪われているのです。
乾皮症
乾皮症とは、皮膚が乾燥している状態で起こる皮膚疾患のことです。
皮脂の分泌が少なくなる高齢者に生じやすいため「老人性乾皮症」と呼ばれる事もありま
すが、最近は若い人にも増えてきて、肌から粉が吹いたり、夜寝て身体が温まってくると
かゆくなってきたりる、そういう症状を訴える人は増えてきています。
乾皮症は、皮膚にかゆみや炎症などが生じてしまい、かゆいと言うのは
結構、ストレスを感じて、生活の質を低下させてしまいます。
日常のちょっとした工夫や投薬によって症状を改善させる事ができるので、
正しく理解して正しく対応していく事が大切です。
私たちの皮膚は身体の中に異物が入らないように防御するバリアとして、また
触感や温度などの感覚を感じるセンサーのような役割があります。
皮膚細胞がこれらの機能を十分に発揮するには、十分に潤っている必要があります。
細胞に適度な水分がないと、皮膚表面の角質が壊れてしまい、これらのはたらきが十分に
行えなくなってしまうのです。
そして皮膚を潤わせる、つまり「保湿」をするために重要なはたらきをしているのが「皮
脂」になります。
私たちの皮膚表面は、皮脂腺から出た皮脂というあぶらで覆われていますが、この皮脂は
水分を皮膚に閉じ込めておく働きがあります。
皮膚表面が脂で覆われていれば皮膚表面から水分が蒸発しにくくなるのです。
皮脂は、皮膚を適度に保湿するために大切な役割を担っているのです。
しかし皮脂の分泌は40代をピークに減少していき、高齢になると十分な皮脂が分泌されな
くなります。
皮膚に十分な皮脂が分泌されないと、皮膚表面の水分はどんどん蒸発してしまいます。
すると乾燥しやすくなって乾皮症が発症しやすくなるというわけです。
最近では、年齢に関係なく、過度な入浴や高い温度での入浴、ボディソープでの洗いすぎ
によって皮脂が洗い流されることにより若い人にも増えているのです。
特に冬場には皮脂の分泌量が減り、また暖房などによって乾燥しやすくなるため、乾皮症
も発症しやすくなります。
また乾皮症は体幹よりも手足に生じやすく、皮膚が乾燥すると、さらに些細な刺激に対し
て敏感になってしまいます。
その結果、些細な刺激でかゆみや炎症が生じやすくなり、生活の質を下げてしまいます。
乾皮症の原因とは
乾皮症の原因は「皮膚の乾燥」です。
そして皮膚の乾燥は、皮膚の水分が失われ過ぎている事え生じます。
では皮膚の水分が失われやすくなってしまう原因は
皮脂をふき取りすぎている
水分摂取量が少ない
などが挙げられます。
皮脂の分泌の盛んな、思春期の方が乾皮症を発症する事はほとんどありませんが、
頻回に顔を洗ったりあぶら取り紙で顔を拭き過ぎてしまうと皮脂が足りなくなり、
乾皮症が生じる事があります。
また水分摂取量が少ないと身体全体が脱水状態になり、皮膚も乾燥傾向となります。
高齢の方は水分摂取量が少なくなってしまう事があり、このような脱水によって乾皮症が
生じている事も少なくありません。
環境的な要因としては、
季節、特に冬は、湿度が低い場所で過ごす事が多い(暖房の使い過ぎなど)こと
などが挙げられます。
皮脂の分泌は夏よりも冬の方が少なくなることにより、
また暖房の使い過ぎなどで湿度が低い部屋に長時間いると水分が皮膚表面から蒸発しやす
く、これも乾皮症の原因になります。
冬はまた、ニットなどを着ることにより、肌に触って些細な刺激でかゆみが生じ、
かゆみに対して掻く事で更にかゆみが生じるという悪循環が生じてきます。
また皮膚に炎症が生じてしまう事もあります。
皮脂が少ない事によって生じる皮膚炎を「皮脂欠乏性皮膚炎」と呼びますが、皮脂欠乏性
皮膚炎が生じると皮膚が赤くなったり腫れたり、痛みを感じたりします。
また、皮膚のバリア機能が低下することで、ばい菌などが身体に侵入しやすくなり、感染
もしやすくなります。
乾皮症の治療法
まず大切なのは予防です。
皮膚が乾燥しないように注意して生活する事になります。
年を重ねると皮脂の分泌量が少なくなってしまうのは仕方ありませんが、
足りなくなった皮脂は人工的に補ってあげましょう。
市販の保湿剤でも良いのですが、医療用の保湿剤としては、
ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)
ウレパール・ケラチナミン(一般名:尿素)
などが保湿作用の高い外用剤になります。
生活の工夫としては、
部屋の湿度を適切に調節する事
暖房を使い過ぎない事
入浴時などに皮膚をこすりすぎない事
などが大事です。
皮膚が乾燥すると、かゆみが生じます。
かゆみが強いと我慢できずに掻いてしまい、掻いた刺激によってよりかゆみがひどくなっ
てしまうという悪循環に陥る事があります。
このようにかゆみがひどい場合は、かゆみ止めのお薬を使う事もあります。
かゆみ止めとしてよく用いられるお薬としては抗ヒスタミン薬があります。
ザイザル(一般名:レボセチリジン)
アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)
タリオン(一般名:ベポタスチン)
などといった抗ヒスタミン薬が用いられます。
私は服用すると少し眠くなるため毎晩、ザイザルを飲んでいます。
また、皮膚科の先生にお風呂では、ナイロンのタオルを使わないように、
出来れば手で直接せっけんを付けて、赤ちゃんの沐浴のように洗う事を勧められていま
す。
抗ヒスタミン薬はかゆみは抑えてくれますが、皮膚の乾燥を改善させるわけではな
いので、保湿剤と併用するとか工夫するといいでしょう。
また、ステロイド外用剤もかゆみや炎症を抑えてくれる作用があるため症状によっては用
いられる事がありますが、
長期の使用はかえって乾燥を強めてしまう事がありますので控えるのがいいそうです。
長期間のステロイドの使用は、主治医と相談して使う事をお勧めします。
ドライノーズ
鼻の中の粘膜が乾燥することで発症するドライノーズは、別名「乾燥性鼻炎」とも呼ばれ
ています。
鼻粘膜のアトピーのようなものだそう。
鼻粘膜(びねんまく)の乾燥により、喉に適切な水分が供給されず、喉の痛みや喉の荒れに
もつながるそう。
痛みより軽い症状の場合、痒みの症状が現れる場合もあります。
喉の痛み、鼻づまり、鼻粘膜の乾燥、喉のかゆみ、声が枯れるなどがあります。
普段の鼻の中は粘液などにより、湿気を帯びた状態となっていますが、脱水症状や室内の
乾燥などによって体が水分不足になることで、鼻も乾燥した状態になってしまいます。
すると、鼻の奥がピリピリするドライノーズになってしまうのです。
ドライノーズによって鼻の奥がムズムズする場合は、鼻水が出なくても鼻をかんだり、
さらに綿棒などを使ってどうにか痒みを抑えようとすると、粘膜が傷つくことで出血しや
すくなり、余計に症状が悪化してしまうそうです。
鼻の中が炎症して、かさぶたが出来たり、気にして触ることでさらにかさぶたを悪化させ
たりという事もあります。
ドライノーズは、空気が乾燥する冬の時期になりやすいのですが、
冬以外にもエアコンなどの乾燥しやすい環境にいると、ドライノーズになりやすいそうで
睡眠中に喉の症状が悪化したりすることもあります。
20代以上の男女に多い症状です。
ドライノーズの対処法
ドライノーズの対処法は、市販薬として最近は「点鼻薬」も販売されており、
点鼻薬によって粘膜の血管が収縮することで、鼻のムズムズなどが解消されるそうです。
しかし、このような点鼻薬をドライノーズ対策として使用すると、逆に鼻の乾燥が悪化し
てしまう場合もあるそうです。
点鼻薬を使う際は自己判断ではなく、必ず耳鼻科で医師の指示のもとで、使用するのを
お勧めします。
または、ワセリンを鼻粘膜に塗り保湿するなどがあります。
私はメンソレータムを塗っています。
メンソレータムのメンソールで鼻の通りもよくなって、一石二鳥ですよ。
それに副作用がないのもお勧めです。
ドライノーズの根本的な治療法はなく、症状の緩和措置を継続することが最大の治療法で
す。
元々の鼻の役割は、生きるために必要な呼吸の他に、
呼吸する際に空気中にある雑菌・ウイルスを体内に入れないようにするバリアの役割もあ
ります。
鼻の奥にある粘膜は空気中の雑菌・ウイルスを体内に入れないよう確保する役割があり、
この粘膜に生えている細かな「線毛(せんもう)」も重要な役割を果たしているそうで
す。
線毛は粘膜の粘液ごと体内や体外に排出する役割があり、例え体内に入ったとしても、ち
ゃんと胃などに運び消化し、雑菌やウイルスを無害化してくれるそうです。
体外に排出する際も、鼻水やタンとして排出されます。
しかし、ドライノーズが原因で粘膜が乾燥することで、細菌などに対するバリア機能が低
下してしまい、結果的に風邪やインフルエンザ、花粉症などにかかりやすくなるそうで
す。
最近、インフルエンザや花粉症の患者が増加傾向なのもこういう事が原因の一因かもしれ
ませんね。
ドライマウス
日常生活から考えられる原因
最近の食生活
食べ物をよく噛み、あごや舌の筋肉を動かすと唾液が出やすくなります。
しかし、最近は、やわらかい食品が多く、食べごたえのある食品を食べなくなった近頃の
食生活で、あごや舌の筋肉が衰えがちなため唾液の分泌量が少なくなり、
口の中が乾きやすくなります。
ストレスの多い日常生活
リラックスしているときは唾液が出やすく、逆に緊張したり、ストレスがあるときは唾液
が出にくくなります。
緊張やストレスが解消されると唾液の量も正常に戻りますが、緊張やストレスの多い状態
が続くと、口の渇きが慢性化することがあります。
アルコールの飲みすぎ
アルコールを飲むと、アルコールを尿や汗と一緒に排出しようとする利尿作用が働き、
体内は脱水状態になります。
そのため、アルコールの飲みすぎは、体内の水分バランスが崩れ、
唾液の分泌が減少し、ドライマウスを引き起こすことがあります。
加齢による筋力の低下
加齢によって口の周りの筋肉の衰えで、唾液が出にくくなり、ドライマウスを引き起こす
ことがあります。
また、全身の筋肉が衰え姿勢が悪くなり猫背であごが前に出ると、自然に鼻呼吸ではなく
口呼吸になり、常に口を開けた状態になるため、ドライマウスになりやすくなります。
最近は、スマホの普及で現代人の姿勢は前かがみになっていることが多く、
口呼吸が多くなってしまっているのではないでしょうか。
薬の副作用
さまざまな薬の副作用でドライマウスが起きることがあります。
花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン薬、痛みを抑える鎮痛薬、抗うつ薬や向精神薬、
降圧薬や体内の水分を排出させる利尿薬など、原因となる薬の種類は多いです。
薬の添付文書に記載されている副作用で「口渇」とあれば、これにあたります。
高齢者にドライマウスが多くみられるのは、服用している薬が多く、その副作用が原因と
考えられます。
唾液の質
唾液は量だけでなく、唾液の質も重要だそうです。
健康維持に大切な成分が十分に含まれた良い唾液が出ているか。
それは、腸内環境との関わりが深く、腸内細菌のバランスが保たれているほど、
良い唾液が分泌されることがわかっています。
大切なことは腸内環境を良くする食生活です。
野菜や海藻など食物繊維が豊富なもの、ヨーグルト、納豆などの発酵食品を朝食に取るこ
とがおすすめです。
それと、唾液の量も大事なので、脱水状態にならないように注意が必要です。
特に冬は血管が収縮し、血液から作られる唾液も減るので、
一日1.5リットルほどの水分を補給することを心がけるといいそう。
緑茶やコーヒーには利尿作用があり、脱水につながることもありますが、
緑茶の場合は低温でいれると、カフェインの抽出を抑え、
IgAを増やすカテキンが多くなりいいそうです。
60度以下がおすすめ。
コーヒーは、唾液のことだけ考えるなら、避けた方がいいという事です。
ドライマウスの原因となる主な疾患
ドライマウスを引き起こす主な疾患には、糖を含んだ尿が大量に排出され脱水状態になり
やすい糖尿病、体がマヒ状態になることがある脳卒中、体を守る免疫の異常によって起こ
るシェーグレン症候群があります。
また、ホルモンの異常やバランスの崩れによって起こる更年期障害の症状の一つにも挙げ
られます。
ドライアイ
ドライアイとは、目の保湿機能が下がり、目が乾いてゴロゴロしたり、目が充血したりす
る目の症状のことです。
ドライアイをそのままにしておくと、頭痛や肩こりを始め、やがては全身的な不調をきた
してしまう恐れがあります。
私は、ドライアイで長年眼科に通っています。
つねに目にゴミが入っている感覚でゴロゴロしています。
ひどい時には、朝、目がくっついて開けるのに痛い感じがあって、夜チューブに入った軟
膏の目薬を塗って寝ていました。
ドライアイになる原因
涙腺からの涙の分泌が少ないことが原因です。
角結膜に涙の分泌を刺激するような傷や、涙道が詰まるなど、何らかの理由で交感神
経が緊張する場合、涙の分泌量が少なくなります。
涙が作られなければ、涙の量が減り、目が乾いてしまいます。
また、まばたきの回数が少なさも原因の一つです。
涙が分泌されても、まばたきが少ないと、眼球の表面に涙がいきわたりません。
パソコンやスマートフォンなどの画面を見続けると、目の周りの筋肉を疲れさ、
瞬きが減少します。
また、精神的なストレスや緊張によっても、まばたきの回数が少なくなります。
また、涙が蒸発してしまうことも原因の一つです。
エアコンなどで乾燥した室内、強い風や太陽の紫外線などは涙を蒸発させることがありま
す。
また、涙には、水の層と油の層があり、水の層のベースには涙に粘液をもたせ目の表面に
のりやすくするムチン層があります。
質のいい涙は、水の層の表面に油の層がきれいに張っています。
この油の層は、まぶたの縁にある油の分泌腺(マイボーム腺)の働きが正常でないとでき
にくくなります。
現在、ドライアイは手術で治すことができます。
というか、涙が流れないようにセンをする手術で簡単に治せます。
しかし、中には私のようにこの手術に適さないという人もいますので
眼科で見てもらう事をお勧めします。
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