更年期障害って言うと中高年のおばさんのイメージがありましたが
最近は男性にも更年期障害があるって言われてきています。
男も更年期障害?
あなたは「更年期障害」は、女性だけが発症するものと思っていませんか?
男性も更年期障害になることがあると言われて久しいです。
男性には月経がないので、閉経の前後5年を指す「更年期」もありません。
しかし、加齢とともに男性ホルモンの分泌が減少し、女性の更年期障害と同じような症状
が出てくることがあります。
男性ホルモンは全身に作用し、筋肉や骨を強くする、性機能を正常に保つなどの働きの
ほか、判断力や理解力などの認知能力を高める役割を果たしているのです。
男性ホルモンの働きは多岐にわたるため、低下するとさまざまな症状が現れます。
そういわれると、年を取ってくると男の人も頑固で怒りっぽくなることがありますね。
その状態を「男性の更年期障害」と呼ぶことがあります。
発症しない人もいますが、男性ホルモンの分泌が減少し始める40歳以降なら、
誰でも更年期障害になり得るといわれています。
男性の更年期障害は、次の2つに分けられます。
・熟年期障害 60歳以降
・不安感が強くなる、憂鬱
・やる気が出ない
・イライラする
・不眠
・意味のない喪失感、寂しいなど軽度のうつ症状
・肥満
・頻尿
・疲労感
・発汗、ほてり
・筋肉痛
・関節痛など
熟年期障害は体調不良が発端ともいわれています。
暴飲暴食や運動不足などの不摂生を続けてきたところに、男性ホルモンの分泌が減少すると、脂質代謝や糖代謝に異常をきたします。
そして、次のようなメタボリック症候群が引き起こされます。
・高血糖
・高血圧
・脂質異常
・動脈硬化
その後、疲れやすい、ちょっと動いただけでも息切れがするなど体調不良とともに、
熟年期障害が起こります。
放置すると、糖尿病、高血圧など動脈硬化の原因にもなります。
何科に行けばいい?
男性の更年期障害を考えた時は、泌尿器科を受診する方が多いようです。
近年は専門外来やメンズヘルス専門外来などを設置している医療機関も増えています。
医療機関では問診や血液検査が行われ、心身状態や男性ホルモンの分泌量などを調べま
す。
国際的には血中のテストステロン(男性ホルモンを構成する成分)の値を見て男性更年期
障害と診断します。
日本では活性型“フリー・テストステロン”の値を基準としています。
血中のフリー・テストステロン値が11.8pg/mL以上であれば正常です。
しかし、8.5pg/mL未満だったり、身体的な症状が強く表れていたりする場合に男性更年
期障害と診断されることが多いといわれています。
テストステロンの減少に合わせて現れる身体的症状は次のようになります。
・やる気が出ない
・不眠
・食欲・性欲・意欲の減退など
女性の更年期症状と似ていますね。
処方される薬は?
検査の結果、男性ホルモン値(フリー・テストステロン値)がさほど低くなかったり症状
が軽度だったりするときには、症状に対応した薬や漢方薬が処方されることがあります。
処方される漢方薬は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などです。
だるさ、気力がない、疲れやすいなどの症状に有効です。
・体力減退
・食欲不振
・ED(勃起不全)
不安症やうつ症状がみられるときは、抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。
また、男性ホルモンが低下すると骨が弱くなってくるため、骨粗しょう症薬を使うことも
あります。
さらに、勃起力や性欲が低下するなどの性機能に関わる症状がある場合は、ED治療薬が処
方されます。
男性ホルモン値(フリー・テストステロン値)が顕著に低いと、次のような症状が現れま
す。
・性欲の低下やED
・抑うつ感
・落胆
・不安
・疲労感
・記憶力や集中力の低下
・発汗
・ほてり
・睡眠障害
・関節・筋肉関連
症状が重いときは男性ホルモン(テストステロン)補充療法が行われます。
男性ホルモンを注射で直接血液に補充するので即効性があり、効果的です。
テストステロン製剤注射は保険適用の治療法で、2~4週間に一度、お尻や腕に注射をしま
す。(※保険が適用できない場合もあります。)
注射による男性ホルモン補充療法は、3か月程度行って効果を見ます。
効果がある場合には、1年を目安に補充療法を継続していきます。
補充療法は、約6割の患者さんで効果が見られますが、効果がない場合は、うつ病など、ほ
かの病気が疑われます。
その場合は、精神科などでの治療が検討されます。
・飲み薬(症状が比較的軽いとき)
・塗り薬
・貼り薬
しかし、テストステロンを使用すると、精巣機能が低下することがあり、
子供ができにくくなるかもしれません。
将来的に子供をほしいと思っている人には、テストステロンに替わるhCG(ヒト絨毛
(じゅうもう)性性腺刺激)ホルモンを注射し、男性ホルモンの分泌を促すこともありま
す。
hCGは精巣に働きかけ、精子形成を促進するホルモンです。
また、男性ホルモンには造血作用があるため、テストステロンやhCGホルモンの投与量が
多いと多血症になり、脳梗塞を発症する恐れがあります。
男性ホルモンは、前立腺がんを進行させる可能性があるため、前立腺がんの患者さんは治
療が受けられません。
また、肝臓に負担がかかる可能性があるので、肝臓病がある人も受けられません。
副作用にも十分な注意が必要です。
そのため、治療中は定期的な血液検査が必要になります。
日常生活で気をつけること
①良質な睡眠をしっかりとる
睡眠が十分とれていないと、男性ホルモンの分泌量が少ない状態が続きます。
男性ホルモンの分泌量は一定ではなく、日内変動します。
分泌量が多いのは寝ている時なので、朝起きた時には分泌量も多いのですが、夕方が近づ
くにつれて少なくなります。
②ストレスをため込まないようにする
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過剰なストレスは男性ホルモンを生成する能力を低下させます。
できるだけストレスはためず、自分なりのやり方でストレスを解消してください。
③適度な運動を続ける
下半身の筋肉を動かす運動をすると、男性ホルモンの分泌量が増加するといわれています。
主に大腿(だいたい)筋(ももの筋肉)や下腿(かたい)筋(ふくらはぎの筋肉)を動か
すと効果的です。
簡単にできるものでは次のような運動があります。
・歩くときは早歩きにする
・スクワットなどの筋力トレーニングを毎日続けるなど
④競争心を持つ
他者と競い合うと男性ホルモンは分泌量が増えるといわれています。
競うのはスポーツでもいいし、ゲームでも構いません。
男性ホルモンの分泌量が増えると、更年期障害の予防にもなります。
まとめ
男性の更年期障害を改善するには、次の二つが大切になってきます。
・男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少するのを阻止する
・テストステロンの分泌量を増やしていく
男性も女性も平均寿命が延びてきて、これから楽しもうという時に更年期に煩わさ
れないように、ストレスをためずに、適度な運動、バランスの取れた食事、
いい睡眠をとって元気な老後を楽しみましょう。
更年期障害を予防し、今まで以上に躍進できるよう、心と身体を整えていきましょう。
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