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東京・築地市場に代わる「日本の台所」オープン
83年の歴史を持つ東京・築地市場に代わる「日本の台所」として、魚の目利きと魚食文
化の発信地として豊洲市場が11日、開場した。
環境基準を大幅に超える豊洲での地下水汚染が見つかり、土壌汚染問題や新たな安全対策
のために予定から2年遅れのスタートとなった。
追加対策工事図
築地閉場から4日間の引っ越し期間を経て同日午前5時半からマグロの競りなどが始まっ
た。
11日午前2時50分ごろ、東京都江東区豊洲の開場直後の豊洲市場で、魚などを運ぶ小
型車両「ターレ」1台から出火したり、
同4時半ごろには、歩行者がターレと接触して転倒し病院に運ばれるという事故もあっ
た。
東京消防庁によると、約30分後に鎮火し、けが人はいなかった模様。
観光地として世界的にも認知されてきた「築地ブランド」をどう発展させ「豊洲ブラン
ド」につなげるのか、他にも難しい課題をたくさん抱えての船出となった。
新しい豊洲市場
アクセス 豊洲市場の最寄り駅は新橋駅からゆりかもめで約30分の「市場前」。
駅と市場は専用の歩行者デッキでつながっており、そのまま見学者コースになっている。
豊洲市場での一般客の見学や、市場内の飲食・物販店舗の利用は休市日以外の午前5時か
ら午後5時(飲食、物販店舗は各店舗の営業終了時間)まで。
無料で予約不要。生マグロの競りは午前5時半ごろから始まる。
小中学生や高校生の団体見学は来年1月15日から。
行かれる方へ 新橋と豊洲を結ぶ新交通システム「ゆりかもめ」で最寄り駅は「市場
前」。始発便は午前5時台から。同時刻には新橋からの直通バスも新設されました。
築地市場と同じく一般客向けの専用駐車場はありません。
JR東京駅からタクシーで約20分(約2000円)。
休場日は日曜、祝日。水曜が臨時休場日に設定されていることが多い。
豊洲市場は、築地市場から2.3キロ離れた臨海部にあり、
敷地面積は築地の1.7倍の約40ヘクタール。
外気の影響を受けやすかった築地とは異なり、立体構造で施設の衛生、温度管理が徹底さ
れ、温度や衛生管理に特化した最新鋭の設備をそろえ、魚などの品質が維持され、
築地市場を超える生鮮食品の取扱量を見込む。
一方で維持管理費は築地を大きく上回り、市場を通さない取引の増加など流通形態も変化
しており、課題も多い。
人件費や光熱水費などを含む豊洲の年間経費は、築地の3倍強の160億円に膨れ上がる
見通し。
施設の減価償却費などを含めた収支は年間92億円の赤字になるとの試算で、将来的には
使用料の値上げや一般会計から税金を投入する必要に迫られる可能性もある。
山積みの問題点
市場関係者がいまだに気をもむ問題がある。
築地市場で長年見過ごされてきた公共スペースを使った営業行為などのルール違反など、
違反行為が常態化している一部の業者もいるため、豊洲の数少ない空きスペースや通路の
一部をめぐり、悪質な違反常習者には数日間の入場禁止など、
厳しい行政処分も検討しているという。
また、築地市場の解体により、市場内にいたネズミが押し寄せるのを心配する声が周辺の
飲食店から上がっている。
東京都は今年度、約3500万円を投じ、駆除を進めているが、総数の把握は難しく、効
果は薄いとみる専門家もいる。
閉鎖に伴い、移転しない場外市場にネズミが真っ先に押し寄せる恐れがあると場外で働く
人々は「今でさえ多くてごみをあさられているのに、こっちに押し寄せたら大変だ」と心
配する。
一般向けの見学や飲食店などの利用は13日から始まった。
外国人観光客に人気が高かったマグロの競り見学は、来年1月15日に開始され、臨場感
が味わえる専用デッキ見学エリアから業者が取引する様子を見られる。
築地市場は一般見学を前提とした作りではなく、競り場の中まで見学者が入れた。
競りを間近で見学でき外国人に人気だったが、外国人のマナー違反や衛生面の問題が指摘
されてきた。
このため、豊洲の水産卸売場棟では、衛生面に配慮した一般の見学コースが設けられ、
2階の通路からガラス越しに1階の競り場を見下ろす形になった。
マグロなどの水産物や青果の取引を間近で見学できる。
見学者コースには、クロマグロの模型や、乗って記念撮影ができる小型運搬車「ターレ」
の展示もある。
すごくきれいで清潔感があって、専門用語を説明するパネルもたくさんあって学べること
も多そうだ。
午前5時過ぎには、卸売場で初めてのマグロの競りが始まった。
赤身の見栄えが良くなるよう赤の補色の緑に床が塗られた売り場には、各地から集まった
マグロが整列。
集まった関係者は鋭い目つきで、マグロの断面から品質を見定めた。
午前6時半には青果売り場でも競りが始まった。
午前9時50分、開場時間にあわせ、豊洲市場の最寄り駅である東京臨海新交通臨海線ゆ
りかもめの「市場前駅」はすでに、駅周辺には開場を待ちわびる長蛇の列ができており、
一般客らの見学や飲食店の利用が始まった初日から多くの人々が詰めかけ、活況を呈し
た。
清潔感のある施設に喜びの声が上がる一方、「働く人との距離を感じる」などと、築地市
場と比較して不満をもらす人も。
見学はガラス張りの2階からなので、セリの威勢のいい声は届かず、ちょっと残念がって
いた外国人観光者もいた。
場内の各施設にある飲食店街はお昼どきで、どの店も大混雑。
客が屋内に入りきらず、屋外まで長い列ができた。
人気店では1時間以上、待つ店もあったようだ。
水産仲卸売場棟では、「屋内で店の前のスペースが狭いので、どこにお客さんを並ばせれ
ばいいのか全然分からない」と店員が困惑していたり。
飲食店に並ぶ列を、展示物などのための見学者用コースの列と勘違いする人もおり、
「何の列なのか、はっきりと看板などで示してもらわないと困る」という人も。
初日だけにまだ、利用者向けのサービスが行き渡っていない場面も見られた。
東京都によると、午前10時の開始から終了1時間前の午後4時までに、家族連れや外国
人観光客ら約4万人が来場。
市場関係者は予想以上の人出とホッとした様子を見せた。
今後の最大の問題は、築地の跡地利用だ。
東京五輪・パラリンピックの期間中は車両基地として使うが、その後については小池
氏が掲げた「築地は守る、豊洲を生かす」の方針がベースになる。
都の有識者会議は5月に「新たな築地ブランドを創造する」との報告書を出したが、
具体策はこれから。
営業を続ける築地場外市場の横に「食のテーマパーク」などの観光施設を造ると、五
輪後に豊洲に整備される「千客万来施設」と競合。
跡地に再び市場の機能を持ってくれば、豊洲市場の役割を損なう。
解体工事も始まった。
水爆実験で被ばくした漁船「第五福竜丸」が持ち込み埋められたマグロの扱い、アス
ベストの飛散防止や逃げ出すネズミの対策にも注目したい。
築地の水産物の取扱量は80年代のピークには80万トンを超えていたが、現在はそ
の半分以下。
市場を通さない取引の増加が主因だ。
さらに日本の漁業・養殖業の生産量がピークの3割台とじり貧にあることも影響す
る。
豊洲市場の取扱量を維持し増やすためにも、健全な国内漁業の振興が不可欠と言え
る。
マグロやウナギは、日本の市場が世界から買い集めることもあり絶滅の恐れが指摘さ
れている。
魚食文化を誇り、海洋国家を自任するのであれば、日本は海の生物や生態系の保全に
リーダーシップを発揮すべきだ。
国を挙げての取り組みが「豊洲ブランドづくりに役立つ」はずである。
周辺では、引っ越しに伴う4日間の市場の休業で入荷量や買い出し客が増えた影響もあ
り、懸念された交通渋滞が発生。
築地市場に比べ公共交通網が少なく、アクセス道路も限られるため、一時は乗用車で1キ
ロ進むのに20分程度かかることもあった。
紆余(うよ)曲折を経て、「世界一の市場」構築へ本格的に動きだした。
大きく変わることを大変と言う。
歴史や今までの伝統を変えるのは簡単なことではないが、新しいことを始めるときはいつ
でも生みの苦しみがあるのは常である。
これからの頑張りに豊洲市場の関係者の方々に期待したい。
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